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新着情報
2015年05月24日

ますますトンデモないことを言い出した内藤忍氏-不動産は債券の代替にはなりません

いまやインデックス投資家の間で、一種の“ネタ”と化してしまった内藤忍氏ですが、ますますトンデモないことを言い出し始めました。なんと債券の代替として不動産を位置付けるという考え方です。それが「金融資産の呪縛」から逃れることだそうです。

債券の利回り低下問題は、金融資産だけでは解決しない

オーソドックスな投資方法に対して“呪縛”などという言葉を投げつけながら、「ハイブリッド投資」という一見して新規な言葉を使って紹介する手法は、あまり上品とは言えません。“呪縛”から逃れたと思ったら、“泥沼”が待っていたのというのではシャレになりませんよ。

内藤氏がブログで紹介している各アセットカテゴリーの相関係数を見ると、きっちりと債券は株式に対してマイナスを示していますから、株式と債券への分散投資によるリスク低減効果はあります。そこで内藤氏が繰り出した苦しい理屈が次のようなものでした。
債券は株式や米国ハイイールド債などと負の相関になっており、分散効果が高いことがわかります。しかし、金利水準は既に低下しており、今後市場金利が上昇することになれば、債券価格が下落するリスクも高くなっていると言えます。

最近、やたらと金利上昇=債券価格暴落というリスクを煽って、結果的に別のアセットカテゴリーへの投資を薦める人がいますが、これは個人投資家の多くが株式に比べて債券に対して知識が少ないことにつけ込んだポジショントークのケースが多いので注意が必要。内藤氏の言葉も、その典型だといわざるを得ない。
(債券投資の有効性についてはアムンディ・ジャパンの有江慎一郎債券運用部長によるコラム「金利上昇懸念とかまびすしいですが……」が極めて参考になります。それでも金利上昇リスクが怖い人は、個人向け国債や現金を保有すれば済む話です。)

それで債券の代替として提唱するのが不動産投資だというのだから、ほとんどお笑いの域に入ったといえるでしょう。
確かに資産運用の悩ましい状況ではありますが、その解決法の1つは「金融資産の呪縛」から逃れることではないかと思います。
記事の中に出てくるのは株式、債券、REITといった金融資産ばかりですが、ここに実物資産(不動産)を組み合わせることで問題解決ができる可能性があります。投資対象になるのは、レジデンス(居住用不動産)物件です。
インカム収入という点では債券投資に比べ、居住用不動産は魅力的な投資対象となっています。例えば、日本では10年国債の利回りは0.5%以下ですが、都心のワンルームマンションであれば、賃貸利回りは4.5%前後と10倍の格差があります。海外においても、債券に比べ不動産の利回りは高くなる傾向があります。

これを読んで“あれ?”と思わない人は、投資詐欺に騙される可能性があるので注意。“債券の金利低下→不動産なら高利回り→債券の代わりに不動産投資”という論理構成ですが、それではなぜ最初に“株式と債券”という組み合わせで投資していたのかという視点がすっぽり抜けている。内藤氏自身が最初に例示した相関係数の話は、どこへ行ったのでしょうか? 最後には次のような発言まで出てきて、いよいよ内藤氏は、“あっち側の人”になったのだなという感慨を抱きました。
伝統的な「株式と債券」という投資対象の組み合わせから「株式と実物不動産」という新しい資産の組み合わせを考える。
債券でインカム収入が得にくくなったと嘆く前に、金融資産という枠から投資のフロンティアを少し広げてみる。

私は別に不動産投資は否定しません。一定以上の資産を持つ人にとっては、不動産は極めて重要なアセットカテゴリーです。しかし、投資の世界に「株式と実物不動産」などと言う組み合わせは聞いたことがありません。不動産投資をする人は、きちんと「現金と不動産」、あるいは伝統的な財産三分法である「現金と株式と不動産」という組み合わせを重視しているものです。ましてや債券の代替として不動産を位置付けるなどは、完全にトンデモ論です。

そう思って内藤氏の新著である内藤忍の資産設計塾【第4版】 (豊かな人生に必要なお金を手に入れる方法)を読んでみたのですが、まったく驚きました(旧版はいい本です。私も大いに参考にしました)。


第5章「実物資産編」が新たに設けられ、不動産、ワイン、金など実物資産を組み入れた資産設計とポートフォリオ例を紹介しています。資産1億円の人に薦めるポートフォリオが、国内不動産4,000万円、海外不動産4,000万円、ワイン1,000万円、金融商品1,000万円だそうです。トンデモないですね。なんか内藤さん、大きな借金でも背負って追いつめられているのではないかと心配になります。それくらい異常な内容を含む本を出してしまっています。いったいこの人は、どこまで行ってしまうのでしょうか。

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